「潔く生きる」がすべての近道

いったい嘘ほど罪深く、卑しく、馬鹿馬鹿しいものはない。嘘は敵意や
臆病さや虚栄心がつかせるものだが、どの場合も、目的を果たすことは
少ない。どんなにうまく隠したつもりでも、嘘は遅かれ早かれバレるからだ。
たとえば、誰かの幸運や人徳をうらやんで嘘をついたとしよう。たしかに
しばらくの間は、相手に傷を負わせることができるかもしれない。けれど、
いずれ一番苦しむのは自分自身だろう。嘘がバレた時(たいていはバレる
ものだ)、一番傷を負うのは自分だからだ。しかも、それ以後、その相手に
関して好意的でないことでも言おうものなら、いくらそれがほんとうのことでも、
単なる中傷とみなされてしまう。こんな損な話はないだろう。

 また、もし自分の言動に言い訳をしたり、名誉が傷つき恥をかくことを恐れて、
嘘をついたり言い逃れをしたなら(嘘も言い逃れも同じようなものだ)、やがて
その人は自分の嘘とその原因であった不安のために、かえって名誉を傷つけられ、
恥をかくことに気づくだろう。その人は、人間のなかでもっとも低級で卑しい者、
という証明をしたようなものなのだ。周りの人からそういう目で見られてしかた
がない。

 もし不幸にして過ちを犯してしまった時は、嘘をついてそれを隠そうとする
より、正直に認めてしまった方が潔い。そしてそうすることが、償いをする唯一
の方法であり、許しを請う唯一の方法でもあるのだ。

 過ちや不都合を隠そうとして言い逃れをしたり、はぐらかしたり、ごまかしたり
する行為は、見ていてあまり感じの良いものではない。それにその人が何を恐れて
いるかも、自然に伝わってくるものだ。だから、そういうことをしても成功するこ
とは少ないし、成功しないのが当たり前なのだ。

 君も、良心や名誉に傷をつけることなく、社会のなかで立派にやっていきたか
ったら、嘘をついたりごまかしたりすることなく、潔く生きるといい。このことは、
命ある限り頭にたたき込んでおきなさい。そうすることが人間としての義務であり、
自分の利益でもあるのだ。それが証拠に、君も気づいているだろうが、愚かな人間
ほどよく嘘をつくものだ。私など、その人がよく嘘をつくかどうかで、知能程度を
測ったりしているよ。