「虚栄心」を「向上心」にまで押し上げる

 虚栄心– もっと柔らかく言えば、人から賞賛を浴びたいという気持ち–
は、どの時代のどの人間も、必ず持っている気持ちではないだろうか。
この気持ちが高じて、愚かな言動や犯罪的行為を犯してしまうこともある。
が、概して、人からほめられたいという気持ちは、向上心につながるのではな
いか、と私は考えている。

 もちろん、そうであるためには、それ相応の思慮深さ、向上心がなけ
ればならないが、結果に目を向ければ、大切に育てても良い気持ちでは
ないだろうか。

 人から認められたい、ほめられたいという気持ちがなければ、私たちは
何事にも無関心になり、何をする気も起らなくなる。そして、実際に何も
しなくなる。そうなれば、自分の持っている力を発揮することもない。
そして、実力いかに見られることに甘んずるほかない。ところが、虚栄心
の強い人は違う。実力以上に見られようと精一杯努力する。

 私は、今まで君に何もかも包み隠さず話してきたし、これからも、欠点だから
といって、隠すつもりはないからあえて白状するが、実はこの私も、人が弱点と
呼ぶ虚栄心を、多大に持っていた。さらに言うなら、私はそのことを残念に思った
ことがない。むしろ、虚栄心があって良かったと思っている。仮に、この私に人々
から喜ばれる何かがあったとしたなら、それは、虚栄心が私を強く押し上げてく
れたおかげ、虚栄心のおかげだと思っている。